賃貸管理の手数料は、国土交通省が2025年10〜11月に管理会社へ行った調査で「月額家賃の3〜5%未満」が51.9%と最も多い価格帯でした。ただし同じ率でも、手数料に含まれる業務の範囲や率を掛ける基準額によって、オーナーが実際に支払う額は変わります。

本記事は募集・更新・退去時の費用ではなく、毎月の管理委託手数料そのものに絞って整理します。相場の分布、手数料に含まれる業務と別料金になりやすい業務、定率制と定額制の違い、見積もりの比べ方を順に確認しましょう。

賃貸管理手数料の相場は家賃の3〜5%未満が最多

国土交通省の令和7年度調査では、管理手数料は月額家賃の「3〜5%未満」が51.9%で最も多く、家賃10万円の部屋なら月3,000円〜5,000円未満が最多の価格帯です。次いで「5〜10%未満」が38.8%を占めます。

調査年度3%未満3〜5%未満5〜10%未満10%以上
令和元年度(n=2,911)9.7%49.1%34.6%1.6%
令和4年度(n=1,996)10.5%47.5%39.6%1.5%
令和5年度(n=2,226)11.5%47.3%39.4%0.9%
令和7年度(n=742)7.4%51.9%38.8%1.9%

過去の調査と比べても「3〜5%未満」が最多、「5〜10%未満」が2番目という順位は変わっていません。3%未満や10%以上は少数派で、令和7年度は回答の約9割が3〜10%未満の範囲に収まっています。

家賃別に見た月額と年額の目安

家賃10万円の部屋なら、手数料率3%で月3,000円、5%で月5,000円、10%で月1万円となり、年額はそれぞれ3万6,000円、6万円、12万円です。

月額家賃3%の場合5%の場合10%の場合
6万円月1,800円(年2万1,600円)月3,000円(年3万6,000円)月6,000円(年7万2,000円)
8万円月2,400円(年2万8,800円)月4,000円(年4万8,000円)月8,000円(年9万6,000円)
10万円月3,000円(年3万6,000円)月5,000円(年6万円)月1万円(年12万円)
15万円月4,500円(年5万4,000円)月7,500円(年9万円)月1万5,000円(年18万円)

上の表は家賃に率を掛けただけの単純計算で、消費税や空室期間は考慮していません。複数の部屋を任せる場合は、部屋ごとの金額を合計して年額で把握しておくと、収支計画に組み込みやすくなります。

管理会社側と家主側の調査で数字が違う理由

2019年に国土交通省が家主へ行った調査では、サブリース以外の管理のための費用は「家賃収入の5〜10%未満」が38.8%で最多でした。調査の対象・時期・質問の範囲が異なるため、管理会社向け調査の「3〜5%未満」とは単純に比べられません。

家主調査では「5%未満」が23.4%、「10〜20%未満」が20.4%と回答が分かれていました。相場の数字を見るときは、管理会社と家主のどちらに尋ねた調査かを確かめましょう。

戸建てや契約期間で手数料率は変わるか

令和7年度調査では、戸建て住宅でも「3〜5%未満」が45.3%で最多ですが、「5〜10%未満」も41.3%を占めます。契約期間が1年未満の契約では「3%未満」が16.7%と、短い契約ほど率が低めに設定される傾向も報告されています。

区分3%未満3〜5%未満5〜10%未満10%以上
戸建住宅(n=75)12.0%45.3%41.3%1.3%
アパート・マンション(n=644)6.5%52.8%39.1%1.6%
契約期間1年未満(n=24)16.7%58.3%25.0%―
契約期間10年以上(n=154)5.8%44.8%46.1%3.2%

戸建てや契約期間1年未満の区分は回答数が少ないため、傾向をつかむ目安として参照してください。戸建て賃貸に特有の確認事項は「戸建て賃貸の管理を任せるときのポイント」でまとめています。

管理手数料に含まれる業務と別料金になりやすい業務

入居者の苦情対応、退去の立会い、滞納の督促、入居者募集、家賃の集金と送金は、約9割の管理会社が基本の手数料に含めています。一方で共用部の定期清掃、法定点検、植栽管理、専門業者による定期点検は、基本の手数料に含める会社が15〜26%程度にとどまり、別料金になりやすい業務です。

国土交通省の令和7年度調査は、管理会社が提供しうる26の業務ごとに「基本の手数料に含む」「オプションとして上乗せする」「受託しない」の割合を集計しています。入居者と家賃に関わる業務は手数料に含まれやすく、建物の清掃・点検は別料金か対象外になりやすい、という線引きが読み取れます。

基本の手数料に含まれることが多い業務

入居者からの苦情対応95.0%、入退去の立会い92.4%、滞納督促92.3%、入居者募集89.5%、敷金精算89.4%、家賃の徴収と引渡し87.6%が、基本の手数料に含む割合の高い業務です。

業務基本の手数料に含むオプションで上乗せ
入居者からの苦情対応95.0%1.9%
入退去の立会い92.4%3.5%
家賃滞納の督促・滞納状況の報告92.3%2.4%
入居者の募集(仲介会社への依頼を含む)89.5%7.8%
敷金等の精算業務89.4%2.9%
家賃等の徴収・オーナーへの引渡し87.6%2.6%
募集状況の定期的な報告87.0%3.6%
更新料の請求・督促73.6%6.1%
設備故障時などの緊急対応72.5%19.6%

更新料の請求や設備故障時の緊急対応は、基本の手数料に含めない会社が2〜3割ほどあります。見積もりに「管理業務一式」とだけ書かれている場合は、これらが含まれるかを個別に確認しましょう。

オプション料金になりやすい業務

植栽管理は51.4%、専門業者による定期点検は44.9%、法定点検は43.9%、共用部の定期清掃は42.0%の管理会社が、オプションとして手数料に上乗せしています。

業務基本の手数料に含むオプションで上乗せ受託しない
植栽管理(剪定・薬剤散布など)15.3%51.4%33.3%
専門業者による共用設備の定期点検17.3%44.9%37.8%
共用設備の法定点検22.7%43.9%33.4%
共用部の定期清掃26.1%42.0%31.9%
夜逃げ・孤独死に伴う残置物処理など53.2%36.3%10.5%
入居前後の鍵交換60.8%30.1%9.0%

表の下2行の残置物処理と鍵交換は、基本の手数料に含む会社が過半数ですが、3割ほどの会社はオプション扱いです。含むかどうかが会社によって分かれるため、見積もりで確かめておきたい業務です。

共用部がある物件では、清掃や点検をオプションで頼むかどうかで年額が変わり、後述の試算例のように手数料率の低い会社が割高になることもあります。手数料率が同じ2社でも、建物管理をどこまで含むかで実質的な負担は異なります。

手数料とは別に請求される費用

管理業務に伴う水道光熱費や空室管理費のように、手数料に含まれない費用が別に請求されることがあります。国土交通省は、こうした費用を管理受託契約前の重要事項説明で書面に記載する事項として示しています。

上記も毎月の手数料とは別枠で、内訳と考え方は「賃貸管理でかかる費用まとめ」で整理しています。TATENO不動産の管理業務の範囲は「賃貸管理サービス」でご確認いただけます。

定率制と定額制はどちらが負担が軽いか

報酬の形態は家賃に比例する定率制が79.1%、定額制が13.5%、両者の併用が4.5%で、定率制が主流です。どちらが軽いかは家賃の水準と空室時の扱いで決まり、家賃が高い部屋ほど定額制が割安になりやすくなります。

月額家賃定率5%の場合定額月3,000円の場合
4万円月2,000円月3,000円
6万円月3,000円月3,000円
10万円月5,000円月3,000円

上の例では家賃6万円を境に、それより高い部屋は定額制、低い部屋は定率制のほうが満室時の月額は安くなります。

ただし、空室中も同じ額を請求する定額制と、実際に入金された家賃に率を掛ける定率制を比べる場合、定率制では空室分の手数料が発生しません。そのため空室期間が長いほど定額制の割安さは小さくなり、逆転することもあるので、両方の契約で空室時の請求方法を確認してください。

定率制は計算の基準額を確認する

定率制では、率を掛ける基準が家賃だけか、共益費や駐車場代を含むか、契約上の賃料か実際に入金された額かによって、同じ5%でも支払額が変わります。

国土交通省が示す重要事項説明書の書式例でも、報酬欄は「家賃及び共益費(管理費)の○%(別途、消費税)」という形です。基準額と税の扱いは、この欄の書き方で確認できます。

たとえば家賃8万円・共益費5,000円の部屋で5%を掛けると、家賃だけなら月4,000円、共益費込みなら月4,250円です。1部屋の差は小さくても、戸数が多い一棟物件では年額の差が大きくなります。

定額制は1戸単位か1棟単位かを確認する

定額制の金額は1戸あたりで決める会社が57.6%、1棟あたりで決める会社が42.4%です。定額制ではオプション業務を実施していない会社が36.4%と定率制より多く、基本料金に含まれない業務は依頼できない場合があります。

1棟あたりの定額制は、戸数が多い物件ほど1戸あたりの負担が下がりやすい仕組みです。その一方で、清掃や点検などを後から追加したくなったときに受けてもらえるかを、契約前に確かめておくと安心です。

管理手数料の見積もりを比べる手順

手数料率だけを並べず、率の計算基準、基本の手数料に含む業務、オプション料金、手数料とは別の費用、税込か税別かの5項目を同じ表にそろえ、年額に換算して比べます。手数料率が低い会社でも、必要な業務をオプションで足すと年額が逆転することがあるためです。

試算例(家賃8万円×10戸)A社B社
手数料率5%(定期清掃込み)3%(定期清掃は別料金)
手数料の年額48万円28万8,000円
定期清掃を月2万円で追加した場合0円24万円
年額の合計48万円52万8,000円

この試算は比較の考え方を示す架空の例で、清掃費の金額は相場を示すものではありません。自分の物件で必要な業務を先に書き出し、各社の見積もりをその業務がすべて入った状態の年額に直してから比べるのがポイントです。

比較表にそろえたい5つの項目

見積もりを受け取ったら、計算基準、基本業務の範囲、オプション単価、別途費用、税の扱いの5項目を1枚の表に書き写すと、会社ごとの差がはっきりします。

  1. 計算基準:率を掛ける額に共益費や駐車場代を含むか、空室分も請求されるか
  2. 基本業務の範囲:集金・督促・入居者対応・募集・退去立会い・緊急対応が含まれるか
  3. オプション単価:定期清掃・法定点検・植栽管理などを頼んだ場合の金額
  4. 別途費用:水道光熱費、空室管理費、更新事務手数料などの有無
  5. 税の扱い:見積額が税込か税別か

口頭の説明だけで判断せず、表のどの欄にも書面の根拠がある状態にしておくと、契約後の「聞いていなかった」を防げます。

重要事項説明書で手数料の内訳を確かめる

国に登録した賃貸住宅管理業者は、管理受託契約を結ぶ前に、報酬の額と支払いの時期・方法、報酬に含まれない費用を書面で説明することになっています。説明から契約までは1週間程度おくことが望ましいとされています。

重要事項説明書は、管理受託契約を結ぶ前に交付・説明される書面で、比較中の全社から受け取れるとは限りません。比較の段階では各社の見積もりで5項目をそろえ、契約前には重要事項説明書の報酬・別途費用の記載が見積もりと一致しているかを確かめましょう。

いまの管理会社との契約内容を見直したい場合は「管理会社診断」も活用できます。

手数料が安い管理会社や0円の管理会社で確かめたいこと

手数料が月額家賃の3%未満と答えた管理会社は7.4%と少数で、手数料の水準が低い会社ほど基本の手数料に含む業務が少ない傾向があります。安さの理由が業務範囲の狭さなのか、別の名目の費用で補う仕組みなのかを、見積もりで確かめましょう。

報酬形態の調査で「無報酬」と答えた管理会社は3.0%にとどまり、手数料0円の管理は少数です。0円の場合も、業務に必要な費用が別の名目で回収されていないかを確認してください。

安さ以外の見極め方は「避けたい賃貸管理会社の特徴」で紹介しています。

よくある質問

空室の部屋にも管理手数料はかかりますか

契約によって異なり、実際に入金された家賃に率を掛ける定率制なら、空室の部屋の手数料は発生しない計算になります。一方、定額制で空室中も同じ額を請求する契約や、空室管理費を別に定める契約もあるため、契約書と重要事項説明書で空室時の扱いを確認してください。

契約後に管理手数料を下げてもらうことはできますか

手数料は管理会社との合意で決まるため、交渉して変更すること自体は可能です。契約内容を変更する場合、賃貸住宅管理業者は変更される事項について書面を交付して説明することになっているため、変更後の手数料と業務範囲を書面で確認しましょう。

サブリースの手数料と比べてもよいですか

サブリースは管理会社が物件を借り上げて入居者に転貸する契約で、オーナーは管理会社から賃料を受け取ります。管理委託の手数料率とは仕組みが異なるため、率だけで単純に比べず、賃料の見直しや免責期間などの条件も含めて検討してください。